第1期日韓こころの交流講座
  家族〜その新しい波〜

   2003年11月15日

晩婚・日韓比較

 独身時代を生きる

   卞 化順


未婚・晩婚の増加

 速い速度で進む韓国と日本の産業化・都市化の過程は伝統的な男性中心の婚姻様態に大きな影響を与え、女性はもちろん、男性の婚姻上の地位にも多くの変化をもたらした。婚姻と関連した人口学的指標の変化で、未婚率増加、結婚率減少、婚姻年齢の高齢化による晩婚の問題は世界的な趨勢である。このような変化の主要因で注目する点は、女性の教育水準向上と経済活動の参加増大などにより、平均初婚年齢が高齢化しており、特に最近では女性の未婚率が増加している点である。

 このような婚姻様態の多様な類型は、婚姻に対する認識に変化をもたらし、成人になれば「必ず結婚しなければならない」という伝統的な観念は、「必ずしもそうではない」という考えに転換している。韓国の統計庁(1999)の調査によれば、「結婚は必ずしなければならない」に同意しない比率が23.8%で、それほど高くないが、女性と年齢が低くなるほど、結婚に同意しない比率が高まっている。

 女性と若い層の婚姻に対する態度変化は、婚姻慣行と出産率減少に多くの影響を与えている。即ち、過去には婚姻において、受動的な位置にあった女性たちが能動的に決定する傾向を見せている。そうであれば、このような変化の原因はどこで探すことができるだろうか。このような現象は、伝統的な家族主義的な価値観が壊れ、家族関係でも男女平等思想と個人主義が次第に優勢になっているところにその主要原因を探すことができる。

 日本の場合も未婚率が急増している。これに対して精細な研究がなされている。レーザーフォード(Retherford)など(2002)は、日本の男性未婚率が、2000年度が15%で、2010年には20%と展望しており、日本女性の未婚率は2000年度の7%から2010年には、10%に増加するものと予測している。地域的に見ると、都市が農村に比べ、未婚率が高く、教育別では、男性の場合、低学歴者が、女性の場合、高学歴者が未婚でいる比率が高いものとなった。これは伝統的な性役割遂行が他の国に比べ保守的な日本の既成世代に対し、若い女性は批判的であり、これに否定的な反応として女性たちが結婚を忌避する傾向を見せている。

 このような現象に照らしてみるとき、ここでは晩婚の傾向がどうであり、その原因が何かを分析し、晩婚が増加している韓国と日本の社会的特性を比較しようと思う。

未婚率の変化

 韓国の場合、未婚率の変化を見ると、女性の変化の傾向は、1960年27.6%から1970年24.9%へと多少減少したが、1980年を起点に上昇勢を見せた後減少し、2000年には25.1%になった。男性もやはり、1970年以後増加したが、1980年の40.4%を起点に再び減少し、2000年には35.1%となった。(韓国統計庁2002年度)

        <表1> 年齢別未婚率の変化(韓国)単位:千人、%

1970 1980 1990 2000
女性 未婚人口数 2,303 3,601 4,517 4,617
15〜19
29〜24
25〜29
30〜34
35〜39
40〜44
45〜49
97.1
57.2
9.7
1.4
0.4
0.2
0.0
98.2
66.1
14.1
2.7
1.0
0.5
0.3
99.5
80.5
22.1
5.3
2.4
1.1
0.6
99.3
89.1
40.1
10.7
4.3
2.6
1.7
男性 未婚人口数 3,335 4,933 6,114 6,317
15〜19
29〜24
25〜29
30〜34
35〜39
40〜44
45〜49
99.7
92.6
43.4
6.4
1.2
0.4
0.2
99.8
93.1
45.2
7.3
1.7
0.7
0.4
99.9
96.4
57.3
13.9
3.8
1.5
0.8
99.4
97.5
71.0
28.1
10.6
4.9
2.4
           資料:統計庁「人口及び住宅国勢調査報告」該当年度

 これも性別、年齢別に見るならば、若い層の30〜34歳代で未婚の比率が持続的に増加している点を上げることができる。より具体的に2000年度の女性は、10年前に比べ25〜29歳で18.0%、30〜34歳で6.4%増加し、男性は30〜34歳で14.2%増加し、35〜39歳で6.8%増加した。また生涯独身とみなせる45〜49歳の未婚率も増加しており、2000年度全体の未婚人口中、女性は1.7%、男性は2.4%に達している。(表1)

 以上に見られるように、わが国で未婚が増加している現象は男性の未婚率が女性に比べて高いが、最近は結婚適齢期の女性の未婚の増加率が男性を上回っている。

 日本の場合結婚年齢の高齢化は、第2次世界大戦以後目立つようになる。未婚が増加している人口学的要因としては、婚姻市場を決定する結婚適齢期人口の数の不均衡、社会経済的要因としては教育水準、そして、地域からその原因を探すことができる。(Mason and Tsuya,1999)

<表2> 寄生する独身者の数(日本) 1995        単位:百万人

全体 男性 女性
年齢 合計 寄生独身 合計 寄生独身 合計 寄生独身
20-24 9.9 6.1 62.1 5.0 3.0 59.3 4.9 3.2 65.1
25-29 8.8 3.3 37.5 4.5 1.8 39.9 4.3 1.5 35.1
30-34 8.1 1.4 17.4 4.1 0.9 21.7 4.0 0.5 13.1
合計 26.8 10.9 40.5 13.6 5.7 41.6 13.2 5.2 39.4
出典:Masahiro Yamadaパラサイトシングルの時代

 1995年、日本の人口国勢調査資料によれば、YAMADA(1999)は、日本で未婚により父母に依存するいわゆる「寄生する独身」(parasite singles)1)の数はだいたい千万人に達するが、男女が同じ比率を占めている。特に20〜24歳の独身の比率が9.9%を占めており、25〜29歳の比率は8.8%、30〜34歳は8.1%を占める。その中で、女性は13.2%で男性(13.6%)より多少低い。(表2)
  1)「寄生する独身」という概念は「経済的能力はあるが、結婚しないで父母と共に生活する成人をいう。
    彼らはケアに対する負担がなく、華麗な(well-to-do)独身生活を送っている」ことを意味する。


男女の比率

 韓国での結婚適齢人口の不均衡に対する主原因は、深刻な男児選好思想により、結婚適齢期の男性数が女性よりも超過しているという点に起因する。この現象は1990年以後、目立つようになり、2010年に最も深刻なものになると予測される。1970年から2000年の間の男性の平均結婚年齢が27.1歳から29.3歳、女性の平均結婚年齢は23.3歳から26.5歳であることを勘案する時、人口学的な立場で婚姻適齢期の男性は26〜30歳の人口集団、女性は23〜27歳の人口集団と推定することができる。<表3>によれば、結婚適齢期の成人男女の比率は、1970年の女性100人に男性100.6であったが、1980年には反対に女性100人に男性83.1人で、女性の比率が非常に高くなった。

 しかし1990年から再び男性の数が女性に比べて増え、時間が経つに連れ、その差も大きくなり、2000年には女性100人に男性115.6人となり、男性超過現象が大きく表れている。将来の人口推計によれば、2010年の結婚適齢期の性比は126.8%から2011年度には129.1%で頂点に達した後、2020年以降多少緩和されるものと予測される。従って、男性にとってはこれから20年間の婚姻市場は非常に不利な立場にあると見ることができる。すなわち、男児選好思想による男児超過現象はブーメラン効果により、男性らに否定的な影響を与え、結婚を望んでも女性の絶対的数の不足で、結婚することが難しい結果をもたらすわけである。よって息子、娘を区分しない出産ができる男女平等社会を目指した諸般与件を作る作業が必要である。

<表3> 結婚適齢期 男女 性比   単位:人

年度 女性
(23〜27歳)
男性
(26〜30歳)
性比
1970
1980
1990
2000
2010
2015
2020
1,112,478
1,732,522
2,076,567
1,826,244
1,611,600
1,454,669
1,588,928
1,119,511
1,439,994
2,210,165
2,111,766
2,043,324
1,678,757
1,793,194

100.6
83.1
106.4
115.6
126.8
115.4
112.9
資料:統計庁 「人口及び住宅国勢調査報告」 該当 年度
    2010年、1015年、2020年の資料は「将来推計人口」2002を活用
    注:性比(女性100人当の男性の数)

結婚年齢の上昇

 ウン・キス(2002)は結婚年齢の変化から特に1997年以降に結婚年齢が高まっていることに注目しながら、若い人が結婚しない理由をこの時期を起点に分析している。彼は最近、性、結婚、出産、離婚、再婚などの家族価値が急激に変化し、性に対する態度も自由になり、結婚を必ずしなければならないのかという疑問も提起するようになったと指摘する。

 特に若い男性は経済危機以後、労働市場の変化があり、労働市場が柔軟化し、定年まで保証された雇用慣行が消え、いつでも職場をやめなければならない状況となった。安定した職場を持ち、結婚できるプール(pool)が大幅に減り、結婚時期を延ばすようになった結果、男性らの婚姻年齢が急激に上昇して未婚率が増加したものと思われる。女性らの立場でも就業を希望する場合、男性に負けないほど困難に遭遇している。女性の職場も不安定なのは男性と同じで、非正規職に従事する女性らの数は増加している。過去のように結婚して安定した生活へ移行できる可能性も大幅減少した。従って女性も結婚を遅らすようになり、その結果婚姻年齢が上昇して未婚率が高まったといえる。今、未婚に関する問題は、出産率の減少、あるいは多様な生の選択のための議論と関連し、より具体的な議論が必要な時期である。

 人口学的、経済的の原因以外にも、男性の未婚率の増加は男性らが意識的に結婚を遅らせたり、嫌がるためだという研究結果もある。(国民日報、2002)アメリカのロットガス大学の研究チームが25〜33歳の未婚男性60余人を相手にした調査結果によれば、彼らは結婚の必要性を余り感じていないという。

 なぜならば、過去に比べ、結婚をしなくてもしたいこと、例えばセックスの相手や子どもを簡単に得ることができるからだ。同時に結婚生活に失敗する場合、経済的な損失に対する恐れも結婚を遅らす原因として作用し、また、結婚に対する圧力も昔のように大きくないという点。そして経済的な豊かさをはじめ、独身生活の楽しさを満喫するために結婚を遅らしていることが明らかになった。このような男性の結婚を避ける現象も結婚に対する負担が原因である。

父母との同居

 日本の場合、大学を卒業しても父母と一緒に住む現象が次第に増加している。このような原因としては、第1に家族構造の側面から見るとき、平均子女数の減少がある。過去には子女の数が多く、父母の家で住むよりは大学を卒業すれば自由とともに自分だけの空間を持つために独立したが、平均子女数が1人、あるいは2人に減少したこの頃は、成人子女が父母と暮らす方法を選ぶこともある。

 2番目に都市の発達を上げることができる。戦後の経済成長は労働力を必要としたが、特に都市地域に多くの大企業が位置し、名門大学も都市にあるので、若者たちは学校を卒業した後に職業を選択するにあたり都市を離れる理由が減り、また家から一歩外に出るだけで楽しめる遊びの文化が発達しているので、都市を離れる理由がない。しかし、生活費が自分の家を維持するには余りにも高く、父母の家を離れることができないのである。

 3番目に結婚を遅くするという点である。1988年、男性の平均初婚年齢は28.6歳で、女性は26.7歳である。1970年に比べ、それぞれ1.7歳、2.5歳増えている。子女は結婚前には父母と一緒に住むことが一般的現象であり、結婚を遅くするということは、父母と一緒に住む期間がその分長くなるといえる。

 4番目に高い生活水準である。父母と一緒に住むことは経済的に得する。特に月給の少ないサラリーマンの場合、余計そうである。大部分の子女らが家賃を払わず、生活必需品も買わない。父母が日常の洗濯、炊事なども代わりにしてくれるので、生活が大変楽なわけである。

投資

 では、父母はなぜ、成人子女と一緒に暮らすものであろうか? 第1に経済的な理由からである。教育費の過度な負担に比べ、成人になり仕事する子女を家で世話することは、費用が少なく済む。

 2番目に利他的動機である。父母の安らぎは、ある程度子女にかかっていると見ることができる。子女らのために生活費を使うというよりは、父母らは子女らに使うことで、より充実感を得る。多くの母たちは自身が持てなかった職業についた娘たちが、家事にとらわれることなく仕事に専念できるよう家事をしているのである。

 3番目にサービスの交換である。即ち、子女たちと一緒にいたいし、関心を引くために子女たちにサービスを提供するわけである。これら父母は、子女との関係を維持するために、財政的にまたは他の支援をするといえる。

 4番目に投資の概念で見ることができる。父母は子女の人的資源に投資するのである。例を上げれば、成人となった青年に、父母は病気したり、経済的に困難なときに財政的な支援を期待する。父母が子女に対する最も大きい投資は教育費である。一流大学を卒業した子女は良い会社に就職し、成功する可能性が高い。よって子女教育に対する大きな投資は、非常に安定した投資と見るわけである。(Takahashi and Voss,2000)

結び

 韓国と日本、両国とも、未婚率の増加の様相は、都市と農村地域により違う。都市に住む未婚男性と未婚女性の比率が、農村の未婚男性と女性より高い。性別に比較してみると、上で言及したように女性の未婚率が男性のそれより低い水準だが、最近では女性の未婚率が早い上昇趨勢を見せている。このような現象は、女性の教育水準向上や経済活動機会の増加で、未婚女性の経済的独立能力が初婚年齢を引続き上昇させ、適切な相手がなければ結婚をしないためであると見られる。特に女性の場合、結婚のために職場をやめるよりは仕事を選択している。過去の成人になれば結婚しなければならないという伝統的な価値から抜け出し、独身で生きる、自身の生をどう維持するのかがより重要な価値観として台頭してきている。従って、晩婚が増加している点と、結婚に対して、よりポストモダニズム的な観点から偏見を持たずに見なければならないであろう。


プロフィール

卞 化順 (ピョン ファスン)

韓国女性開発院 企画調整室長

学歴
1980年 韓国延世大学 大学院 社会学科 碩士学位取得
1984年    〃          D.E.A(博士課程)学位取得
1987年 フランス パリ5大学―ルネデカルト、人口及び家族社会学科
      第3期博士学位取得

経歴
1996年1月〜現在 韓国女性開発院 研究本部 専任研究委員
1997年9月〜1998年2月 韓国円光大学 大学院 博士課程 
                家庭管理学科「比較家族」講義
1998年9月〜1999年2月 韓国ソウル大学 大学院 博士課程
                消費者児童学科「家族政策」講義
2002年4月〜12月 米国ハワイ大学East-West-Center客員研究員
2003年1月〜現在 韓国女性開発院 企画調整室長 
2003年3月〜2008年8月 韓国淑明女子大学 博士課程
                家庭管理学科「家族政策」講義

その他
2000年 「家族の変化と女性の役割及び地位に関する研究」(韓国女性開発院)
2001年 「家族類型による生活実態と福祉ニーズに関する研究」(韓国女性開発院)
      「性売買対策に関する研究」(韓国女性部、法務部)
2002年 「韓国人の婚姻状態」(韓国の人口 韓国人口学会)
2003年 「離婚の社会学研究」その他、国連機構など、多数の国際会議に参加