「笑顔が今も浮かぶ」

今年の初夏に一年ぶりに韓国を訪れた。
共生園に行った時のことである。
小学校一年生に見える子どもたちが学校から帰ってきた。
その姿がとてもかわいらしかった。
お姫様、王子様のように見えた。
その瞬間、涙がこぼれた。
このように貴い子どもを育てられなかったご両親の心情はどうだろうか。

ソウルで韓国社会福祉元老会の発足があった。
1960年、劣悪な社会福祉の現場で汗を流した社会福祉士たち、
学校で福祉を教えた教授たち、長官や次官を経験された官僚もいらっしゃった。
その中である若い女性が「私が大学2年の時、故郷の家の研修プログラムに2週間参加しました」と挨拶をした。
温かい香りを感じた。
彼女は、大統領室の職員になっていた。

翌日私は、龍山の大統領室に招かれた。
そこで彼女は、静かに座っている私の代わりに田内千鶴子、そして私が日韓で実践してきた福祉の内容を説明する。

10月28日韓国の木浦で開催予定だった「田内千鶴子生誕110周年の記念式典」に大統領のメッセージを持ち、大統領室から参列くださるという一報が届いた。
彼女に電話をした。
電話の向こうで「故郷の家でのお年寄りの笑顔が今も浮かびます」と、うれしそうな声が響いた。
こんなに喜んでくれることに感激した。
私も初心に帰らないと、と決意した。

小さな縁を大切にする情の文化が、まだ韓国には残っている。
デジタル・機械文明に隠された人間本来の温かさを彼女から感じた気がした。

社会福祉法人こころの家族   尹基(Tauchi Motoi)   2022年11月1日

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