いま私たちは、大きな時代の転換点に立っています。AIの進歩によって、多くの仕事が効率化され、これまで人間が担ってきた役割が変わりつつあります。データ処理や分析、定型的な業務は、今後ますますAIが担っていくでしょう。
そのような時代において、私たちは一つの問いに向き合わなければなりません。「人にしかできない仕事とは何か」という問いです。
私は長年、社会福祉の現場で、孤児や高齢者と共に歩んできました。その経験から確信していることがあります。それは、人は決して一人では生きていけないということ、そして人は人によって支えられる存在だということです。
どれほど立派な制度があっても、どれほど物が満たされても、人の心の孤独は埋まりません。誰かがそばにいて、自分の話を聞いてくれる。自分の存在を認めてくれる。その関係の中でこそ、人は生きる希望を見いだします。
キリスト教の教えに「隣人を愛しなさい」という言葉があります。これは単なる道徳ではなく、人が人として生きるための根本の原理だと私は思います。
AIは多くのことを可能にします。しかし、人を愛すること、人の痛みに共に涙すること、その人の尊厳を守ることは、機械にはできません。
これからの時代に必要なのは、効率だけではなく、「共に生きる力」です。社会福祉とは、まさにその実践であり、人間の本質に関わる仕事です。
AI時代とは、人間の役割が失われる時代ではありません。むしろ、人間の本当の価値が問われる時代です。
他者のために尽くし、隣人を愛し、共に生きる。その働きは、これからも決してなくならないどころか、ますます重要になっていくでしょう。
社会福祉法人こころの家族 尹基(Tauchi Motoi) 2026年5月1日

