田内千鶴子生誕111周年記念

田内千鶴子生誕111周年記念 木浦市民感謝碑除幕式を挙行

感謝碑の前で参加者記念撮影
姿を現した感謝碑のもとにみんな笑顔で集まった

抜けるような青空に聖歌隊の歌声が響き渡った。11月1日、木浦共生園前の広場にて、田内千鶴子生誕111周年記念「ありがとう、木浦のみなさま」感謝碑除幕式が行われた。韓国孤児のオモニと称えられる田内千鶴子の偉業は木浦の人々の支えなくしてはあり得なかった。感謝碑はそんな思いが込められ、日韓交流のシンボルとして建立されたものだ。

こころの家族のルーツである児童養護施設共生園を夫の尹致浩とともに、尹致浩が消息不明になってからはひとりで支え、韓国の孤児3000人を育てた田内千鶴子。日韓両国の関係が険悪であったときも千鶴子を支え、1968年に千鶴子が亡くなったときには木浦市で初めての市民葬が営まれた。国境を超え、千鶴子を支えてくれたのは木浦の人々だった。

峯野龍弘牧師
祝辞を述べる峯野牧師

峯野龍弘牧師(淀橋教会)は「木浦市民は尹鶴子(ユンハクチャ=田内千鶴子の韓国での名前)の愛を真正面から受け止め、尹鶴子の愛と木浦市民の愛がひとつになった。共生園はその象徴である」と祝辞を述べた。

淀橋教会聖歌隊
淀橋教会聖歌隊

この日は峯野さんが歌詞(原詩)を提供、田中惠子さんが作曲した「感謝〈愛の詩〉」が淀橋教会聖歌隊によって披露された。その後、いよいよ感謝碑の除幕。大勢の人々の手にとられたテープが引かれ、日・韓・英語で「木浦市民ありがとう!」と記された碑が姿を現した。


関連イベント

10.31(ソウル)シンポジウム「グローバル時代の日韓福祉協力方案」

討論会の様子
左から市川一宏氏、中村秀一氏、柳秀絃氏、柳愛貞氏

除幕式の前日、10月31日にはソウルの国民日報ビルのコンベンションホールでシンポジウム「グローバル時代の日韓福祉協力方案」が開催された。

呉俊(オ・ジュン)氏
基調講演を務めた呉俊氏

基調講演「世界の韓人と社会福祉の役割」は韓国児童団体協議会会長で元国連大使・呉俊(オ・ジュン)氏が務めた。

 

今は再び戦争の時代になり、気候変動、不平等の増大といった問題が世界を覆い、韓国国内においても急激な成長の一方で高齢化も急速に進む。この状況の中で福祉はどうあるべきかと問題提起。

国連世界孤児の日の趣旨にも賛同している市川一宏氏(ルーテル学院大学名誉教授)は「日本におけるソーシャルワーカーの今日的使命〜日韓福祉協力増進を目指して〜」と題して発表。地域ケアネットワークづくりについて述べつつ「韓国に教えてもらうことがたくさんある」「いまは一国だけの社会福祉は成り立たない」と述べた。

柳愛貞(ユ・エジョン)氏(韓国・国民健康保険公団統合ケア研究センター長)の発表は「韓日福祉、官民連携手法:超高齢化社会への対応を中心に」。韓国は2050年には平均寿命が世界で初めて90歳を超え、世界一になると予想されている。増大するケアニーズに対応するために統合的・制度的運営基盤構築が求められているとする。

中村秀一氏(国際医療福祉大学大学院教授)は「戦後日本の福祉の経験から〜日韓福祉、民間協力〜」と題して発表。「制度の狭間」、「従来の組織では対応困難な課題」等が顕在化している現在、これらが今後の福祉の中心課題となり、地域社会の力が問われると指摘した。

韓国にとって日本は20年早く超高齢化社会に突入、それを支える制度や法律の面で先行していると考えられている。討論では質問が相次ぎ、なごやかな中にも熱のこもったひとときが共有された。


11.1 木浦
第3回 日韓キリスト教コンベンション

コンベンション会場の様子
第3回日韓キリスト教コンベンション

2022年秋に木浦で開催された第1回、2023年6月に大阪で開催された第2回に続き、第3回日韓キリスト教コンベンションが11月1日の除幕式の後、木浦の新安ビーチホテルで開催された。

尹基理事長
尹基理事長

代表会長の権龍植(クォン・ヨンシク)牧師の歓迎の辞、こころの家族の尹基理事長の「共生のビジョン」に続き、主題発表が行われた。

柳在文(ユ・ジェムン)牧師は、共生園と日韓の教会が連合して次の世代に十字架の精神である共生を実践し、世界平和の夢を持とうと提案。

朴ダニエル宣教師は韓国の教会と日本の教会の共生により世界宣教に献身することができると語った。

川端均大阪自彊館理事長
川端均大阪自彊館理事長

歓迎晩餐会では、共生園とは姉妹施設の関係をもち、故・吉村靫生理事長の代からこころの家族とも深い交流がある大阪自彊館の川端均理事長が挨拶を述べた。大阪自彊館は2023年、創立111周年を迎えた。

日韓教会交流会も

晩餐会のあと、日韓教会交流も行われた。聖門教会では峯野龍弘牧師が「最も大いなるものは愛」、木浦第一教会では藤森真人牧師(ニュージーランド大阪教会)が「天からのはしご」をテーマに説教を行い、心づくしの茶話会が持たれるなど、温かく迎え入れられた。

藤森牧師と中村順徳氏
藤森牧師(右)と通訳された中村順徳氏

日韓が音楽の共演

今回、シンポジウムやキリスト教コンベンションを盛り上げたのは日韓のさまざまなジャンルの音楽だった。除幕式のためにつくられた曲「感謝〈愛の詩〉」を歌い上げた淀橋教会聖歌隊はじめ、こころの家族とゆかりの深い人々が音楽を携え、ソウルで、木浦で、交流を繰り広げた。

たんぽぽの家
たんぽぽの家

たんぽぽの家障害のある人のアート活動や仕事づくりまでを支える「たんぽぽの家」は奈良県から参加。障害のある人が作った詩にメロディをつけた曲をギターの伴奏に乗せて歌った。

学生会 雅楽演奏の様子
学生会

学生会福岡県柳川市の社会福祉法人学正会との縁は、故・金納学氏が理事長であった70年代、共生園の水仙花合唱団初来日に際して同会が受け入れを表明したことから始まる。同会は本格的な雅楽の演奏で知られており、「越殿楽」などが演奏されると大きな拍手が起こった。

ハン・スジン氏
ハン・スジン氏
木浦連合長老聖歌隊
木浦連合長老聖歌隊

韓国からはおなじみの水仙歌合唱団(10ページにも記事)、木浦連合長老聖歌隊やグルトギ重唱団がコンベンションで、バイオリニストのハン・スジン氏がシンポジウム交流会で独奏を披露した。

この歌が日韓の架け橋になれば───「感謝〈愛の詩〉」を作曲した田中惠子さん

田中惠子さん
田中惠子さん

「感謝〈愛の詩〉」を作曲、また今回の除幕式や関連イベントで弾き語りを披露した田中惠子さんは神戸市在住のピアニストであり、作曲・編曲家。日本フリーメソジスト教団明石上ノ丸教会で62年にわたって牧会をしてきた内貴八郎右衛門氏の長女。4歳からピアノを始め、中学時代から教会オルガン奏楽奉仕にあたってきた。現在は夫の勝利さんとともに音楽工房GRACE【K&K】を主宰する。

 

「作曲にあたっては、田内千鶴子さんの生涯をもう一度DVDなどで確認しました。韓国の5音階を使い、まず木浦の方に受け入れていただけるメロディを、そして、日本の私たちにも馴染みのあるようにと考えました。  田内千鶴子さんが韓国と日本の架け橋になられたように、この歌もそのような役目を果たすことができればと思います」と語る。

「感謝〈愛の詩〉」
1 涙ぬぐわれ 喜びに変わる
  どんな悲しみも癒す 木浦の愛
  すべての罪を包みこむ 豊かな愛
  カムサハムニダ ありがとう
2 時代は変わり 人も変わる
  変わらないのは この木浦の愛
  国を越えて海を越え 変わらぬ愛
  カムサハムニダ ありがとう
3 慰め励まし 愛に満ちた街
  人を生かし 高める街
  愛と平和がもたらす 愛の都
  カムサハムニダ ありがとう
4 木浦に来たならきっとわかる
  温かい人々の この愛
  真実と正義を 貫く愛
  カムサハムニダ ありがとう

 

関連記事

寄付
採用
情報
故郷
の家